美しい自然と豊かな歴史と伝統を誇る長野県。特に南信地域には、農村における娯楽、村祭りの奉納行事としての地芝居や人形芝居の伝統が豊かに息づいています。それらは長いもので300年、江戸時代中期から途絶えることなく続いており、国の無形文化財に指定されているものや、昭和の戦争時に一時休止を余儀なくされたもののいまは復活しているものなど、過去より連綿と受け継がれ歴史を刻んでいます。いずれも郷土を愛し、伝統芸能を愛しこれを継承発展させたいという熱心な関係者や愛好家の情熱と努力によって行われております。 近年、季節毎の公演などで一部活気を回復している一方で、発表の機会に恵まれないことや後継者不足に悩まされているものもあるというのが実情です。近代社会にあっても、このような地芝居は特に貴重な伝統芸能として、私たちの世代の使命として豊かに、さらに確かなものとして後世に残していかなければならない地域文化であり、広くまた継続して育成支援が要請されると考えます。
こうしたことから伊那文化会館では、地域貢献活動として、これら地域の伝統芸能に発表の機会・創造の場を提供し支援育成する、また発表のイベントにより地域をにぎやかに元気づける目的で平成18年度から、農村における地芝居を一堂に会して「信州農村歌舞伎祭」を開催して参りました。伊那谷の中心にあたる当館で、「信州農村歌舞伎祭」を継続して行うことによって、地域の伝統芸能・文化が過去から現在、現在から未来への懸け橋に努め、地域の皆様の誇りと伝統が確実に未来へ届くことを願っています。
長野県伊那文化会館